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2007.08/10 [Fri]
本日は漆についてその5
さて、漆を塗る前に目止めをしなくてはいけません。
シューケアボックスはナラ材で製作したので目止めの必要があります。
広葉樹のうち環孔材であるナラは導管が大きいので漆をグビグビ飲み込んじゃうので目止めをして孔をふさぐわけです。
方法は様々。
1.柿渋を1〜2回塗る
2.柿渋に砥の粉を混ぜこれを摺りこむ
3.砥の粉を水で練ったものを刷毛で塗り、ボロ布で良く拭き取る
4.砥の粉と生漆を混ぜた下地をつくり、これを木ベラでしごいて木目の中に摺りこむ
5.ワイピングステインを塗布する
など。
これらの目止めをした後にペーパーをかけて表面を落ち着かせ漆を摺りこんでいきます。
選んだのは4番。
これがおそらく一番しっかりと目止めできると判断しました。

しかしここからが波乱の幕開けとなりました。
砥の粉と漆を混ぜ、ヘラでグリグリ摺りこんでいくと
ゲゲッ!
塗っているそばからまだら状になり、ものすごく汚い(-_-;)…
なんだコレは…
そうです。
素地の調整が甘かったのです。
漆の仕上げのレベルはオイル仕上げとは雲泥の差。
ちょっとでもペーパーのかけ方が甘いとすぐにボロが出ます。
以前上げたシューケアボックスの画像を見ていただくと分かると思いますが、面をR加工するために鉋で横摺り(木目方向とは直交で削ること。この方が早く削れるが削り跡がアライ)で削っていた跡がモロに出ていました。
結構大きなショックでした。
漆は生半可な気持ちで臨んではダメだ。
とことん丁寧に仕上げないと漆で仕上げる意味もなければ、
「もの」としての価値もない…
ということで乾燥を待ち漆を全部ペーパーで剥がし素地をしっかりと仕上げ再度チャレンジ。
漆をはがすのに結構苦労しました。
そこで4番から3番に作業を改めました。
つまり砥の粉を水で溶かしてものを刷毛でぬり、ウェスで拭き取りました。
乾燥後漆を摺りこんでいきましたが、今度はキッチリとペーパーがけをしたのできれいにいきました。
しかし、何か少しドス黒くないか?
気のせいか?
と思ったのですが2,3回摺りこんでいきました。
結論:気のせいではありませんでした。
進めていくと段々とそのドス黒さが強調されていきます。
今まで私がみてきた拭き漆とは明らかに違い、黒っぽい(-_-;)…
なぜだか分かりません恐らく砥の粉が原因でしょうか。
仕方がないのでまた剥がしました。
キッチリと漆を剥がさないと色むらが出るのでこれまた時間をかけてやりました。
さて今度はどうかというと、
上手くいきました!
色合いも透き通るような茶色(上手く表現できないくらい深みのある色になっていきます)でした。
今後は砥の粉を水で溶かしたものを刷毛で塗り、拭き取った後、一度目止め用に漆を摺りこみ、乾燥後漆をしっかりと落としてから摺りこみ作業に入ることにしました。
摺りこんでいく回数も増やしていくと深みも段々を出てきて本当に楽しい作業でした。
ちなみに具体的な摺りこみ方ですが、2回目まではテレピン油で30〜40パーセントに薄めて摺りこみ、3回目からは薄めずに漆をそのまま摺りこんでいきます。
また、摺りこみはサッと行い、拭き取り方は最初、円を描くように摺りこみ、次に木目と直交、最期は木目に沿って拭き取ります。
その後、温度20°、湿度80パーセントの“室に入れて乾燥させます。
埃のない暗いところ(漆は日焼けします)を選んで行いました
ちなみに一日というのが目安のようですが、気温が高いため、半日で乾きました。
つまり、出勤したら摺りこみ、帰り際にまた摺りこむ。
結構早いピッチで進められます。
逆に冬場は2日ほどみないといけないようなのでこれは今後の課題となるでしょう。
”乾燥後、サッとパーパーをかけて再度漆を摺りこんでいきます。
しかしここで要注意。
ペーパーがけですが、下手なかけ方をすると角の部分の漆ばかり削れ、真ん中にはちっともかからずこれまた色ムラの原因が発生します。
いったん削れちゃうといくらそこだけ念入りに漆を摺りこんでもまったく効果ナシ。
この失敗は幸いドス黒い時に発生し、今回を要注意しながらペーパーをかけました。
そんなこんなで漆は7回ほど摺りこんでいきました(失敗を含めると10回以上でした)。
以上で作業は終了しましたが、キーポイントは以下の2点かと。
1.素地調整はとことんやること。
私は#120から初めて1.5がけで#600まで。
説明書によっては#1000までかけるとのこと
ただし番数を上げればあげるほどムラが出やすいのでさらにキッチリかけないといけなくなります。
2.乾燥後のペーパーがけには細心の注意をはらうこと。
漆を摺りこむ作業自体はものすごく簡単なことでした。問題はペーパーのかけ方ですね。これには要注意です。それさえ守っていればそれほど難しい作業ではないかと。
仕上がり感は…
やはりいいです。
手間のかけ方はオイル仕上げより相当かかります。
手間がかかるというということは値段に反映します。
漆そのものも高いです。
でもやってみてわかりました。
木目の声が見えるんですよ
(変な言い方ですが…)
これはやるだけの価値はある。
絶対に間違いない…
なんでもかんでも漆というわけにはいきませんが(そもそもあの“室”では椅子が入らない…)オイル仕上げと上手く使い分けをすることで新たな木の表現力を持てたような気がしました。
漆はいい。
この技法を持ったこの国に生まれ、
木に携わる仕事をし、
漆という素晴らしい仕上げ方法を知ったことに感謝です。
そんな大げさなものでもないですかね?
これで漆特集はおしまいです。
皆さんのご意見、お叱り、何でもいいです。
ぜひともお聞かせてくださいm(_ _)m。

自分の名刺入れの片面だけ余った漆を摺りこんでみました。塗装見本にもなるし…
本日はここまで
ランキングに参加しております。
バスッと一押しいただけると幸いですm(_ _)m。

シューケアボックスはナラ材で製作したので目止めの必要があります。
広葉樹のうち環孔材であるナラは導管が大きいので漆をグビグビ飲み込んじゃうので目止めをして孔をふさぐわけです。
方法は様々。
1.柿渋を1〜2回塗る
2.柿渋に砥の粉を混ぜこれを摺りこむ
3.砥の粉を水で練ったものを刷毛で塗り、ボロ布で良く拭き取る
4.砥の粉と生漆を混ぜた下地をつくり、これを木ベラでしごいて木目の中に摺りこむ
5.ワイピングステインを塗布する
など。
これらの目止めをした後にペーパーをかけて表面を落ち着かせ漆を摺りこんでいきます。
選んだのは4番。
これがおそらく一番しっかりと目止めできると判断しました。

しかしここからが波乱の幕開けとなりました。
砥の粉と漆を混ぜ、ヘラでグリグリ摺りこんでいくと
ゲゲッ!
塗っているそばからまだら状になり、ものすごく汚い(-_-;)…
なんだコレは…
そうです。
素地の調整が甘かったのです。
漆の仕上げのレベルはオイル仕上げとは雲泥の差。
ちょっとでもペーパーのかけ方が甘いとすぐにボロが出ます。
以前上げたシューケアボックスの画像を見ていただくと分かると思いますが、面をR加工するために鉋で横摺り(木目方向とは直交で削ること。この方が早く削れるが削り跡がアライ)で削っていた跡がモロに出ていました。
結構大きなショックでした。
漆は生半可な気持ちで臨んではダメだ。
とことん丁寧に仕上げないと漆で仕上げる意味もなければ、
「もの」としての価値もない…
ということで乾燥を待ち漆を全部ペーパーで剥がし素地をしっかりと仕上げ再度チャレンジ。
漆をはがすのに結構苦労しました。
そこで4番から3番に作業を改めました。
つまり砥の粉を水で溶かしてものを刷毛でぬり、ウェスで拭き取りました。
乾燥後漆を摺りこんでいきましたが、今度はキッチリとペーパーがけをしたのできれいにいきました。
しかし、何か少しドス黒くないか?
気のせいか?
と思ったのですが2,3回摺りこんでいきました。
結論:気のせいではありませんでした。
進めていくと段々とそのドス黒さが強調されていきます。
今まで私がみてきた拭き漆とは明らかに違い、黒っぽい(-_-;)…
なぜだか分かりません恐らく砥の粉が原因でしょうか。
仕方がないのでまた剥がしました。
キッチリと漆を剥がさないと色むらが出るのでこれまた時間をかけてやりました。
さて今度はどうかというと、
上手くいきました!
色合いも透き通るような茶色(上手く表現できないくらい深みのある色になっていきます)でした。
今後は砥の粉を水で溶かしたものを刷毛で塗り、拭き取った後、一度目止め用に漆を摺りこみ、乾燥後漆をしっかりと落としてから摺りこみ作業に入ることにしました。
摺りこんでいく回数も増やしていくと深みも段々を出てきて本当に楽しい作業でした。
ちなみに具体的な摺りこみ方ですが、2回目まではテレピン油で30〜40パーセントに薄めて摺りこみ、3回目からは薄めずに漆をそのまま摺りこんでいきます。
また、摺りこみはサッと行い、拭き取り方は最初、円を描くように摺りこみ、次に木目と直交、最期は木目に沿って拭き取ります。
その後、温度20°、湿度80パーセントの“室に入れて乾燥させます。
埃のない暗いところ(漆は日焼けします)を選んで行いました
ちなみに一日というのが目安のようですが、気温が高いため、半日で乾きました。
つまり、出勤したら摺りこみ、帰り際にまた摺りこむ。
結構早いピッチで進められます。
逆に冬場は2日ほどみないといけないようなのでこれは今後の課題となるでしょう。
”乾燥後、サッとパーパーをかけて再度漆を摺りこんでいきます。
しかしここで要注意。
ペーパーがけですが、下手なかけ方をすると角の部分の漆ばかり削れ、真ん中にはちっともかからずこれまた色ムラの原因が発生します。
いったん削れちゃうといくらそこだけ念入りに漆を摺りこんでもまったく効果ナシ。
この失敗は幸いドス黒い時に発生し、今回を要注意しながらペーパーをかけました。
そんなこんなで漆は7回ほど摺りこんでいきました(失敗を含めると10回以上でした)。
以上で作業は終了しましたが、キーポイントは以下の2点かと。
1.素地調整はとことんやること。
私は#120から初めて1.5がけで#600まで。
説明書によっては#1000までかけるとのこと
ただし番数を上げればあげるほどムラが出やすいのでさらにキッチリかけないといけなくなります。
2.乾燥後のペーパーがけには細心の注意をはらうこと。
漆を摺りこむ作業自体はものすごく簡単なことでした。問題はペーパーのかけ方ですね。これには要注意です。それさえ守っていればそれほど難しい作業ではないかと。
仕上がり感は…
やはりいいです。
手間のかけ方はオイル仕上げより相当かかります。
手間がかかるというということは値段に反映します。
漆そのものも高いです。
でもやってみてわかりました。
木目の声が見えるんですよ
(変な言い方ですが…)
これはやるだけの価値はある。
絶対に間違いない…
なんでもかんでも漆というわけにはいきませんが(そもそもあの“室”では椅子が入らない…)オイル仕上げと上手く使い分けをすることで新たな木の表現力を持てたような気がしました。
漆はいい。
この技法を持ったこの国に生まれ、
木に携わる仕事をし、
漆という素晴らしい仕上げ方法を知ったことに感謝です。
そんな大げさなものでもないですかね?
これで漆特集はおしまいです。
皆さんのご意見、お叱り、何でもいいです。
ぜひともお聞かせてくださいm(_ _)m。

自分の名刺入れの片面だけ余った漆を摺りこんでみました。塗装見本にもなるし…
本日はここまで
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